TSW2021レポート② 【TCI 石塚さん/スタパ 小泉さん】


2021年12月15日〜19日に開催したTsukuba Startup Week 2021(TSW2021)のレポート第2弾ということで、Day1『TSUKUBA Innovation Matching vol.1 -NIMS発ベンチャーの技術-』Day2『第84回 AIST・筑波大・TCIベンチャー技術発表会(マッチング会)』でご一緒させていただいた、つくば研究支援センター(TCI)/ つくばスタートアップパーク チーフインキュベーションマネージャーの石塚万里さんつくばスタートアップパーク コミュニティマネージャーの小泉祐司さんにTSW運営の堀下がインタビューさせていただきました。


堀下:まずはどんなイベントを開催されたのか教えてください。

小泉さん:TSW2021のDay1は『TSUKUBA Innovation Matching vol.1 -NIMS発ベンチャーの技術-』と題して、NIMS発ベンチャーのみなさんをつくばスタートアップパーク(以下、スタパ)にお招きし開催しました。スタパでは毎週水曜日にスタパイベントと題し、スタートアップに関する様々なイベントを開催しており、このイベントは36回目でした。「TSUKUBA Innovation Matching」は国立研究開発法人物質・材料研究機構(以下、NIMS)の研究シーズを事業化しているベンチャーの方々の成長促進を目指して、大手中堅企業とのマッチングの機会を作るべく開催しました。このイベントを通して、NIMSの技術力をもとにした面白いシーズがあるということを多くの方々に知っていただくことができたと感じています。

石塚さん:2ヶ月に1回開催している「AIST・筑波大・TCIベンチャー技術発表会」は今回で84回目となりました!このイベントは国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と筑波大学TCIの共催で実施しています。元々はつくばのコーディネーターや企業の方々に聞いてもらうという趣旨で始めたものでしたが、コロナ禍でハイブリッドで開催するようになり、全国各地の大手企業さんにも参加してもらえるようになりました。今では販路開拓にもつながるイベントになっています。いつもは特別な技術について話してもらうことが多いのですが、今回は「SDGs目標3 すべての人に健康と福祉を」という大きなテーマでつくば発ベンチャーの方々に発表していただきました。


堀下:どちらも定期的に開催されているイベントですが、今回特に力を入れた点などありますか?

小泉さん:『TSUKUBA Innovation Matching vol.1 -NIMS発ベンチャーの技術-』はTSWのいちプログラムということで、NIMSと一緒にやるというのを意識していました。これまでのイベントでは、つくばにフォーカスしながらも研究機関と一緒に実施することがなかったため、今回つくばの代表的な研究機関のひとつであるNIMSを取り上げて企画しました。

石塚さん:今回初めての試みということで、互いに手法など手探りな部分もありましたが、TCIでこれまでに開催してきたイベントの内容や成果を紹介し、まずはやってみようかということになりました。。イベント後には、NIMSの方々から「なかなか研究者やベンチャーが外の人たちに発表して技術を知ってもらう場がない中で、すごくいい機会になりました。」と高く評価してもらうことができました。さらに、このイベントを通じて全部で22件もの個別商談が入り、良い結果を残すことができたと思っています。

石塚さん:『第84回 AIST・筑波大・TCIベンチャー技術発表会(マッチング会)』ではTSWということでいつもより大きなテーマで開催しました。広く様々な分野の企業に登壇してもらい、いつもは2〜3社のところ5社登壇してもらいました。今回は特に大手企業や地域の自治体の方々に参加してもらおうと宣伝広告に力を入れ、いつもより特別な回となりました。

堀下:どちらのイベントもTSWのひとつのプログラムとして位置付けたことで、いつもとは違うエッセンスを入れることができたのかなと思います。様々なイベントをTSWとして位置付けたことにより、よかった面も難しさを感じた面もありました。ひとつひとつのイベントを企画していると同時にTSWをみんなで足並み揃えながらつくっていき、手探りで始まった初年度でしたので、大変なことも多くありました。


堀下:そんな中でTSWとして位置付けたからこそよかったことはありますか?

小泉さん:TSWのロゴを共通でつくったことにより、一施設のイベントではなくWeekとしてみんなで実施していることを広く見せることができました。つくばスタートアップパークでは「つくばのスタートアップのハブになりたい」という思いで毎週スタパイベントを開催し続けています。TSWの中で「こんな形がつくばにあったらいいよな」というひとつの理想像を描くことができました。

石塚さん:今までNIMSとガッチリ組んでイベントを開催する機会がなかった中で、NIMSにお声がけできたというのはTSWというきっかけがあったからだと思います。お互い一緒にやることで効果を見出すというきっかけづくりとしては、とてもよかったと思います。

堀下:TSWをやると決めたことにより「せっかくなら多くの人を巻き込んでいこう」という主催側のマインドセットができたと思います。


堀下:TSWは2022や2023、それ以降につないでいきたいと多くの方が思ってくれているといいなと思うのですが、これからのTSWやつくば市のスタートアップエコシステムの醸成に向けて、展望を教えてください!

小泉さん:TSWが続くことを期待しています。TSW2021を実施したことにより気づいたことや生まれた反応があったからこそ、TSWを実施するのが当たり前の状態をつくっていきたいと思います。TSWが次やりたいことをみんなでディスカッションできるプラットフォームになっていけると、つくばのスタートアップの未来は明るいなと思います。個人的には、次こそはスタパのメインイベントのひとつである「STAPA PITCH NIGHT」をTSWとして開催したいと思っています!

石塚さん:1年間準備期間があればどのイベントをTSWに位置づけようか考えることができるので、長いこと継続していくことでよりよくなっていくのかなと思います。今年はまだ1年目なので普段のイベントと集客の差は少なかったですが、続けていくことで「TSWは面白いイベントをやっている」と注目してくれる人が増えていき、普段の参加者に加えてTSWの参加者を集客できて相乗効果が生まれていくと思います。

堀下:構想の段階から、つくばにお祭り的な盛り上がりをつくり、イベント主催側が「TSWのイベントとして開催したい!」と名乗りをあげる状態をつくりたいと話していました。スタパやTCI、筑波大学、CIC Tokyoなど、いろんなところで同時多発的にイベントを実施できたことは、TSWの面白さだったのかなと思いますし、これが続いていくことで、TSWを機につくばに来た方々と思いもよらぬことが生まれるのかなと思いました。


堀下:TSW2022を開催する際には、さらにどんな展望を描きますか?

小泉さん:スタパイベントの目玉である「TSUKUBA Innovation Matching」と「STAPA PITCH NIGHT」の2本を実施していきたいと思っています!スタパはつくば駅から徒歩圏内にあり筑波大学へのアクセスも良いということで、ハブになりやすい場だと思います。だからこそ、スタパが中継地点となり、全イベントのチラシを置いてパブリックビューイングを実施し、TSWの総合窓口になるといいなと思います。

石塚さん:今言ったことをまさに考えていました!長いこと続けていく中で、他地域の方々が集まってくれることも大事ですが、つくばの研究者や筑波大生など地域の方々からも注目してもらえるようになるといいなと思います。「起業している研究者がこんなにいるんだ」「こんな面白い事業ができてきているんだ」ということを外の人にも中の人にも知ってもらえる場にしたいと思います。スタパでパブリックビューイングをやりつつ、コロナが落ち着いたらその1週間はスタパにいつ行っても誰かと交流できる場になっている状態ができたらいいなと思います。

堀下:TSWはコロナの終息を待たずして第1回を開催したからこその展望なのかなと思いますし、先が見通せない世の中ではありますが、我々は淡々と仕掛け続けて、晴れてコロナが終息した際には、満を辞して現地にみんなを呼び込むだけのチーム体制ができているといいなと思います。

石塚さん:コロナが終息する前に一歩踏み出したからこそ、コロナが終息して世間が一気に動き出したタイミングで一歩リードしている状態をつくれると思います。

堀下:ありがとうございました!今回手探りの中でつくばスタートアップパークやつくば研究支援センターにご協力いただき、TSW2021を一緒になってつくっていけたことは本当によかったと思いますし、2022やそれ以降の未来に向けてこれからも一緒になって続けてまいりましょう!


今回のインタビューを通じて、TSW2022やこれからの取り組みに向けて、明るい未来をともに描くことができました。
TSW2021は各機関の方々のご協力により開催することができました。今後も各機関との連携を強めていきたいと思います。

インタビュー:Venture Café Tokyo TSUKUBA CONNÉCT operation manager 堀下恭平
写真撮影:株式会社しびっくぱわー 川原涼太郎
記事執筆:株式会社しびっくぱわー 中井遥

2022/3/4(金)