TSW2021レポート⑤【筑波大学 五十嵐先生】

2021年12月15日〜19日に開催したTsukuba Startup Week 2021(TSW2021)の全体の振り返りとこれからの展望について、TSW2021の発案者である筑波大学 国際産学連携本部 特命教授の五十嵐浩也先生にTSW運営の堀下がインタビューさせていただきました。


堀下:TSW2021は五十嵐先生の発案で開催しましたが、なぜ実施しようと思ったのですか?

五十嵐先生:12月の同じ時期につくばの機関がそれぞれ同じことをやろうとしていたからです。茨城県は茨城県、つくば市はつくば市、大学は大学、研究機関は研究機関で、似たような話を同じところにあてようとしている状況がありました。一方で、つくばスタートアップ・エコシステム・コンソーシアム(以下、つくばコンソ)を作り、動き出そうとしていました。そこで、いい機会だなと思い、全部をくっつけてしまえばいいと考えました。


堀下:これまで縦割りでやってきましたが、あえて一緒にやろうと思ったのはなぜですか?

五十嵐先生:縦割りにはいいところも弊害もあります。今回TSWとして統合することで、何かプラスアルファになることがあるかどうかを評価できると思いました。


堀下:実際に開催してみてプラスアルファになったことはありましたか?

五十嵐先生:各機関がそれぞれの取り組みを気にするようになったことが良かったと思います。各機関がそれぞれのプログラムを一生懸命作る形でいいと思いますが、それぞれが何に取り組みどんなポジションなのかを意識し始めたことが非常に重要なのです。今後は、各機関の役割が明確化していく可能性があると思っています。だからこそ、TSWの取り組みは何回も続けていかなければなりません。統合した企画が出始めるのは、2,3回開催してからだと思っています。これまでは「つくばにある各機関が何かやっている」という認識だったのが、TSWを通じて統合することで「茨城/つくばで何かやっている」と証明することができるようになります。世界から見て「つくばで何か面白いことをやっている」と思ってもらえるように、発信していくことが大事です。今回TSWがそのスタートとして起爆になれば良いと思っています。各機関に力があるからこそ、統合せずに取り組んできましたが、各機関で特徴はあるはずなので、今回統合できたことは非常に良かったと思っています。


堀下:各機関が一緒になって開催するために、手探りでやってきたのがTSW2021でした。今後のTSWに何を期待しますか?

五十嵐先生:来年も続けていかないと話にならないと思っています。初めから全体で企画するのではなく、それぞれの企画でいいのでポジショニングをはっきりさせ、それぞれの強みを明確にしていけばいいと思います。それぞれの強みと弱みが見えるようになることで、どこをどう組み合わせればいいかの地図を描くことができるようになります。山は各機関にあっていいので、それを連ねて山脈にしていくといいと思います。

堀下:TSW2022はどんな広がりを作っていきましょうか?

五十嵐先生:参加する人をどんどん増やしていく必要があります。まだ表に出ていない起業家がたくさんいると思っています。どんな分野でも規模感でもいいので起業家をもっとたくさん集め、それぞれの違いを明確にすることで、つくばで今何が起こっているのかを明らかにすることができると考えています。それがエコシステムを拡張する要素となり、拡張できる要素を常に持ち続けなければなりません。これをつくばコンソが意識し始めると面白くなると思います。


堀下:たくさんの人を巻き込んでやっていった結果、コロナ禍でしたが5日間で1,200名以上の方々に参加していただくことができました。

五十嵐先生:今後もハイブリッドでやっていきたいです。その上で、TSW2022ではもっとライブ感を提供したいと考えています。オンライン配信でどうやってライブ感を出していくのかを、もう一歩踏み込んで考えていけると良いと思います。そのためには、お金の出どころが大事になります。TSW2021では各プログラムを各機関で出していたので、どうしても規模が小さくまとまってしまいます。ここを統合できるのはつくばコンソしかないと思っています。


堀下:TSW2021はつくばコンソの一部局という建て付けで、各機関が各プログラムを実施しましたが、それでもつくばコンソと一緒になって取り組めたことが今後につながる第一歩になったと思います。今後TSWはどうなっていくと考えていますか?

五十嵐先生:TSWのようなイベントは、つくばがモデルになればいいと思っています。一方で、つくば以外の参加者を拒まないということも大事です。他地域や他組織とのコラボレーションをつくばに持ってきて、TSWの一プログラムとして実施することもまた、TSWを広げるという意味で大事になります。各プログラムの山を大きくしていきながら、TSW全体としてもどんどん積み上げていき、裾の尾を広げていくことで、各山が連なってより大きな山脈にしていけると面白いと思います。


堀下:最後に一言、TSW2022のポイントを教えてください。

五十嵐先生:それぞれのイベントで1番面白いところをいかに育てていくかだと思います。TSW2022ではそこをより明確化していってほしいです。それぞれ違うからこその良さを生かしていくことを大事にしていきたいです。


堀下:それぞれがやりたいことをやって山を大きくしていき、TSW全体で裾の尾を広げて山脈になっていくようなTSW2022を作っていきましょう!ありがとうございました。


今回のインタビューを通じて、各機関が連携してTSWを開催することの重要性と今後につながる可能性を感じることができました。TSW2021は各機関の方々のご協力により開催することができました。今後も各機関との連携を強めていきたいと思います。

今回のインタビューの様子は、以下のYouTubeからご覧いただくことができます。貴重なご意見をいただいているので、ぜひご覧いただければと思います。


インタビューにご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。
TSW2022に向けて連携を強めていきたいと思いますので、引き続きご協力よろしくお願いいたします。

インタビュー:Venture Café Tokyo TSUKUBA CONNÉCT operation manager 堀下恭平
写真撮影:株式会社しびっくぱわー 川原涼太郎
記事執筆:株式会社しびっくぱわー 中井遥

2022/3/21(月)